「Please」や「Thank you」は基本として、今回はさらに一歩踏み込んだ、より洗練された丁寧表現を見ていきましょう。
1. 依頼するときの表現:「命令」ではなく「お願い」にする魔法
直接的な「Can you…?」や「Please do…」も通じますが、相手にプレッシャーを与えかねません。特に目上の方やクライアントには、より丁寧な表現を使いましょう。
【基本形】
- Could you please send me the file?
- 「Can you…?」よりも丁寧な基本形です。
【ワンランク上の表現】
- Would you be able to send me the file?
- ニュアンス: 「(もし可能でしたら)ファイルを送っていただくことはできますでしょうか?」
- 解説: Could you…?よりもさらに丁寧で、相手の状況を気遣う響きがあります。「もしあなたの能力や状況が許すならば」という仮定のニュアンスが含まれるため、非常に柔らかい依頼になります。
- I was wondering if you could send me the file.
- ニュアンス: 「ファイルを送っていただけないかと考えていたのですが…」
- 解説: これが最も丁寧で、日本人が好む「遠回しな表現」に近いです。「私はこう考えていたのですが、どうでしょうか?」と、相手に判断を委ねる形になるため、一切の強制感がありません。急ぎでない依頼や、少し頼みづらいお願いをする際に最適です。
2. 反対意見や懸念を伝えるときの表現:「No」を言わずに伝える技術
ビジネスでは、相手の意見に反対したり、懸念を示したりする場面が必ずあります。その際に「That’s a bad idea.」などと直接的に言うのは絶対にNGです。
【使いがちな表現】
- I don’t agree. / I have a problem with this plan.
- これらは強すぎて、相手を不快にさせる可能性があります。
【ワンランク上の表現】
- I see your point, but I have a slight concern about the budget.
- ニュアンス: 「おっしゃることは分かりますが、予算について少し懸念があります」
- 解説: まずI see your point(おっしゃることは分かります)と相手の意見を受け入れるクッションを置くのが重要です。そして「problem(問題)」ではなく「concern(懸念)」という柔らかい単語を使うのがプロフェッショナルです。
- That’s a valid point. Have we considered an alternative approach?
- ニュアンス: 「ごもっともな点ですね。代替案は検討してみましたでしょうか?」
- 解説: That’s a valid point(ごもっともな点です)で相手を立てつつ、「私たちは」を主語にして「Have we considered…?」と問いかけることで、相手を責めるのではなく、チームとして一緒に考えていこうという協調的な姿勢を示せます。
3. 催促・リマインドするときの表現:相手を追い詰めないスマートな一言
期限が迫っているタスクについて、相手に催促するのは気まずいものです。ストレートすぎる表現は避けましょう。
【直接的な表現】
- Where is the report? / Have you finished it yet?
- これは非常に無愛想で、相手を問い詰めているように聞こえます。
【ワンランク上の表現】
- Just a gentle reminder that the report is due this Friday.
- ニュアンス: 「念のためのリマインダーですが、レポートの締め切りは今週金曜日です」
- 解説: Just a gentle reminder(穏やかなリマインダーですが)というフレーズは、催促のトーンを劇的に和らげます。「あなたを責めているのではなく、単に忘れているかもしれないのでお知らせします」という配慮が伝わります。
- When you have a moment, could you please give me an update on the project?
- ニュアンス: 「お時間のある時に、プロジェクトの進捗を教えていただけますでしょうか?」
- 解説: When you have a moment(お時間のある時に)という一言を加えるだけで、「あなたの都合を優先してください」というメッセージになり、相手へのプレッシャーを減らすことができます。
4. 自分が間違っているかもしれないことを伝えるときの表現:謙虚さを示す
相手の言っていることやデータに間違いがあるかもしれない、と指摘するときに使える非常に丁寧な表現です。
【ワンランク上の表現】
- Please correct me if I’m wrong, but I believe the meeting is scheduled for 3 PM.
- ニュアンス: 「もし私の認識が間違っていたら訂正していただきたいのですが、会議は午後3時からだったかと存じます」
- 解説: 「自分が間違っている可能性」を先に提示することで、相手の顔を立てながら、間違いを優しく指摘することができます。高圧的な印象を完全に消し去り、協調的な議論を促します。
まとめ:シーン別使い分け表
やりたいこと | 直接的・普通の表現 | ワンランク上の丁寧表現 |
依頼する | Please send the file. | I was wondering if you could send the file. |
反対する | I disagree. | I see your point, but I have a slight concern. |
催促する | Where is the report? | Just a gentle reminder that… |
指摘する | You are wrong. | Please correct me if I’m wrong, but… |
これらの表現をメールに取り入れることで、あなたの英語はより洗練され、相手との良好な関係を築くための強力なツールとなるでしょう。ぜひ、次回のメールから試してみてください。
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