最近、ある動画をきっかけに、過去に出会った尊敬するリーダーを思い出すことがありました。 その人は、派手な言葉で褒めたり、モチベーションを煽ったりするタイプではありませんでした。 むしろ静かで穏やか。でも、誰よりも人を“見て”いた人でした。
その時の感覚が、今回のテーマと見事につながったのです。 それは
リーダーシップは、褒める技術ではなく「ねぎらい」の質で決まる。
そしてその「ねぎらい」は、職種や役職を問わず、 どんな立場の人でも今日から発揮できる影響力だということです。
■ 1. 褒めるとねぎらうはまったく別物
ふだん、職場では褒めることが良いコミュニケーションとされることが多いですよね。 もちろん悪いことではありませんが、褒めるには限界があります。
◎ 褒める:
- 結果への評価
- 上下関係を前提とする
- 一瞬嬉しいけれど、持続しづらい
◎ ねぎらう:
- プロセスや努力への共感
- 対等な関係をつくる
- 「見てもらえている」感覚が生まれる
褒められると気分は上がります。 でも、ねぎらわれると安心が生まれる。
そして安心は、 主体性・挑戦・貢献意欲につながっていく。
これがエンゲージメントです。
■ 2. 専門性を見つけて、認めることが人を動かす
職場には、本人が気づいていない強みや専門性がたくさんあります。
あなたの周りにも、 「この人ってこういうとこ強いな」 「この人のこういう気配り、誰よりも価値あるよな」 と思う人はいませんか?
ところが本人は、それを当たり前だと思っていたりします。
だからこそ、誰かが見つけて言葉にすることが重要なんです。
- 「あなたの分析の丁寧さがプロジェクトを支えている」
- 「あなたの一言が、チームが前に進むきっかけになった」
こういうねぎらいは、単なる励ましではありません。 その人の専門性を認める行為そのもの。
これをされた人は、自分の仕事に誇りを持ち、 結果的にチームへのエンゲージメントが自然と高まります。
■ 3. エンゲージメントは制度ではなく関わり方で生まれる
福利厚生を増やしても、評価制度を改善しても、 人が本当に動くのは 日常の関わり方 のほうです。
- よく見ている
- 小さな努力に気づく
- 専門性を認める
- プロセスに感謝を伝える
こうした行動は、一見小さいですが、 チーム文化を底から支える基盤になります。
私が過去に経験した尊敬できるリーダーも、 いつも静かに見ていてくれる人でした。 褒めるのではなく、さりげなくねぎらい、 私の仕事のどこに価値を感じているのか言葉にしてくれる人でした。
あれほど働きやすく、力を出せた環境は他にありません。
■ 4. 役職がなくても、影響力は発揮できる
ここで一番大切なポイントは、
ねぎらいと専門性の承認は、誰でもできるリーダーシップだということ。
管理職である必要はありません。 むしろ、現場で日々関わるあなたの一言のほうが、 相手に与える影響は深いこともある。
- 同僚
- 後輩
- 関係部署
- プロジェクトメンバー
どんな立場でも、 相手の努力や専門性を正しく見つけて、言葉にして届ける これだけでチームの空気は確実に変わります。
■ 5. あなたの職場には、どんな「ねぎらい」がありますか?
エンゲージメントは、制度ではつくれません。 日々の小さな行動の積み重ねでしか生まれません。
そしてその小さな行動は、 誰かを勇気づけ、その人の働く意味を強くします。
最後に、読んでいるあなたに問いかけたいです。
あなたが力を発揮できた瞬間は、 どんな言葉をかけられた時でしたか?
その問いの答えこそ、 あなたが誰かに届けられる影響力なのだと思います。



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