「この依頼、失礼に聞こえないかな…」「反対意見を伝えたいけど、角が立ちそうだ…」
英語で仕事をする中で、そんな風に悩んだ経験はありませんか?日本語の「丁寧語」や「謙譲語」のような便利な言葉がない英語では、相手への「配慮」をどう表現するかが、プロフェッショナルな人間関係を築く鍵となります。
Please や Could you…? はもちろん基本です。しかし、本当に「仕事ができる」ネイティブは、その一歩先を行く「クッション言葉」を巧みに使いこなしています。
今回は、あなたが明日からすぐに使えて、周りと圧倒的な差がつく3つの神フレーズを、具体的なシーンと共に深掘りします。
神フレーズ①:「もし無理なら大丈夫」で、頼み上手になる
No worries if not, but…
これは、相手の負担を最大限に気遣いながら、何かを依頼するときの最強フレーズです。直訳すると「もしそうでなくても心配しないでください、でも…」となり、相手に「断る」という選択肢を明確に与えることができます。
■ なぜこれが効くのか?
依頼された側は、「断ったら悪いな」という心理的負担を感じません。そのため、プレッシャーなく依頼内容を検討でき、むしろ「気遣ってくれてありがとう。何とかしよう」という気持ちにさえなりやすいのです。
■ 使用例:
【Before】普通の丁寧な依頼
Could you please review this document by the end of the day?(本日中にこの資料を確認していただけますか?)丁寧ではあるが、相手は「やらなければ」というプレッシャーを感じる。
【After】神フレーズを使った依頼
No worries if not, but would you have a moment to review this document by the end of the day?(**もし難しければ全く問題ないのですが、**本日中にもしお時間があれば、この資料をご確認いただくことは可能でしょうか?)「無理なら断っていい」という安心感が加わり、驚くほど柔らかい印象になる。
【使いこなしのヒント】
緊急ではないけれど、お願いしたいことがある場合に特に有効です。「ちょっとした頼み事」や「追加の依頼」をする際に、この一言を添えるだけで、あなたの評価は格段に上がります。
神フレーズ②:「悪魔の代弁者」として、賢く意見する
To play devil’s advocate…
会議で、全員が賛成している企画の「穴」に気づいてしまった。そんな時、どう切り出しますか?「でも、この計画には問題があります」と真正面から反対するのは、場の空気を壊しかねません。
そこで使うのがこのフレーズです。devil’s advocate(悪魔の代弁者)とは、あえて反対の立場に立って議論をふっかけ、議論を活性化させたり、計画をより強固にしたりする人のこと。つまり、「個人的な意見ではなく、議論のための役割として反対意見を言いますよ」という前置きです。
■ なぜこれが効くのか?
反対意見を「個人 vs 個人」の対立構造から切り離し、「議論を良くするための共同作業」へと昇華させることができます。これにより、相手は個人的に攻撃されたと感じず、あなたの意見に耳を傾けやすくなります。
■ 使用例:
The overall plan looks great. But, to play devil’s advocate for a moment, what is our backup plan if the supplier is delayed?(全体の計画は素晴らしいですね。しかし、**あえて反対の立場から言わせていただくと、**もしサプライヤーに遅れが出た場合の次善策は何でしょうか?)ただの批判ではなく、リスク管理を促す建設的な発言として受け取られる。
【使いこなしのヒント】
計画の初期段階やブレインストーミングで使うと特に効果的です。チーム全員が「見落としていた視点だ、ありがとう」と感じるような、戦略的な発言として機能します。
神フレーズ③:「同じページ」で、認識のズレをなくす
To make sure we’re on the same page…
会議の終盤や、メールでのやり取りの後、「相手が正しく理解したか」を確認したい瞬間は頻繁にあります。しかし、「Did you understand?」や「Is that clear?」は、相手によっては「私の説明が下手だと思われている?」あるいは「私の理解力を試している?」と、少し高圧的に聞こえる危険性があります。
このフレーズは、主語を「We(私たち)」にすることで、確認作業を「お互いのための共同作業」と位置づけることができます。
■ なぜこれが効くのか?
「私が正しく理解するために」「私たちの間の誤解を防ぐために」というニュアンスが生まれ、非常に協調的で謙虚な印象を与えます。責任をどちらか一方に押し付けるのではなく、フラットな関係性を築くことができます。
■ 使用例:
【会議の最後に】
This was a very productive discussion. To make sure we’re on the same page, my understanding is that I will draft the proposal and you will gather the sales data. Is that correct?(非常に生産的な議論でしたね。**最後に認識をすり合わせさせてください。**私が提案書を作成し、あなたが営業データを集める、という理解で合っていますか?)
【メールの冒頭で】
Thank you for the detailed information. To make sure I’m on the same page, you would like me to proceed with Option A, not Option B. Is this correct?(詳細な情報をありがとうございます。**認識が合っているか確認したいのですが、**BではなくAの選択肢で進める、ということでよろしいでしょうか?)この場合、主語を”I”にすると、より謙虚な「(私の理解が正しいか)確認させてください」というニュアンスになる。
【使いこなしのヒント】
複雑な話の後や、具体的なアクションプランを決めた後には、必ずこのフレーズで認識をすり合わせる癖をつけましょう。後の「言った、言わない」問題をスマートに防ぐことができます。
まとめ
英語の丁寧表現の神髄は、相手への「配慮」をいかにスマートに言語化するかにあります。
今回ご紹介した3つのフレーズは、単なる言い換えではありません。これらは、**「依頼」「反対」「確認」**という、ビジネスで特にデリケートな状況を円滑に進めるための、強力なコミュニケーションツールです。
ぜひ、次回のメールや会議で、これらの「神クッション言葉」を一つでも使ってみてください。きっと、相手の反応が変わり、あなたの仕事がよりスムーズに進むはずです。
コメント